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2026年3月

研究をひらく—『工科デザイン研究』第1号発刊

デザイン学部教員の暮沢剛巳です。しばらく以前に、こちらのブログで「「工科デザイン研究」の創刊にむけて(http://blog.ds.teu.ac.jp/blog/2024/09/post-a190a2.html)」という記事を書く機会がありましたが、今回はその続編として、つい先日第1号が発刊された「工科デザイン研究」について紹介したいと思います。

 

前回も書きましたが、大学教員にはそれぞれ専門領域があり、それぞれの専門に関する論文を執筆することは研究の要というべき重要な活動です。従来、研究論文の発表はそれぞれの教員が所属する学会を拠点として行われてきたのですが、「工科デザイン研究」は東京工科大学デザイン学部をその新たな拠点とすることを目的に創刊されました。幅広い情報発信のために、「工科デザイン研究」はオンラインジャーナルという形態で、年1回のペースでの刊行を目指しています。

 

昨年創刊された創刊準備のための第0号と、先日発刊された第1号には、合計10本超の論文が掲載されています。いずれも専門的な内容を持つものですが、今回はこの中から第0号に掲載された「アイドル⽂化とファン⽂化の相互関係 ⽂化的循環とウェルビーイングへの影響」と、第1号に掲載された「所変わればヒト変わる」を紹介します。

 

アイドル⽂化とファン⽂化の相互関係」は、このテーマについて研究を行っていた大学院デザイン研究科の大学院生が、指導教員との共著という形で執筆した論文です。このように、教員に限らず学生にも門戸を開いているのが「工科デザイン研究」の大きな特徴です(この大学院生は、論文の発表後も同じテーマの研究を継続し、今春無事に修了しました)。

所変わればヒト変わる」はデザイン学部の客員教授を務めている永島譲二先生に特別に寄稿していただきました。軽妙な筆致で、論文というよりはエッセイという方がふさわしいですが、優れた内容の文章であれば形式にこだわらず積極的に掲載していきたいと考えています。

 

創刊してまだ日の浅い「工科デザイン研究」ですが、今後も優れた論文を掲載して、東京工科大学デザイン学部の研究力・発信力の強化に努めたいと思います。意欲ある学生のチャレンジも大いに期待しています。

 


工科デザイン研究

https://tech-d.org/

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アルファイサル大学イノベーションセンター(サウジアラビア王国)とのMOUを締結しました

空間デザインコース准教授の田村吾郎です。

2026年1月、サウジアラビアのアルファイサル大学イノベーションセンターと、宇宙・AI・デジタルツイン分野における人材交流、共同研究、人材育成、ならびに研究成果の社会実装を一体的に推進することを目的としたMOU(覚書)を締結しました。

1月11日にリヤド市にて開催された「日・サウジ閣僚投資フォーラム」では、田村が赤澤亮正経済産業大臣、サウジアラビアのアル=ファーレフ投資大臣らとともに調印セレモニーに登壇し、調印の披露を行いました。

また、同日にアルファイサル大学とMOUを締結した日本の宇宙ベンチャー企業である株式会社スペースデータとも連携し、教育・研究・実証・事業化を結ぶ中核拠点となることを目指します。

このMOUを基にした協業は、大学に蓄積された先端研究を実社会での活用まで見据えて展開する、実装志向の国際連携スキームです。日本およびサウジアラビア王国の大学が有する研究・教育資産と、スペースデータが有するデジタルツイン技術および事業化の知見と結びつけることで、研究開発・人材育成・社会実装を分断なく推進し、次世代産業の創出と高度人材育成の両立を図ります。

 

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※写真:左から
・Noor Alsaadoun, Director, Alfaisal University
・HRH Princess Maha bint Mishari Al-Saud, Vice President of External Relations and Advancement, Alfaisal University
・H.E. Khalid AlFalih, Minister of Investment, Saudi Arabia H.E.
・Ryosei Akazawa, Minister of Economy, Trade and Industry, Japan
・Atsushi Takata, Executive Vice President, Global Strategy & Space Utilization, SpaceData, Inc.
・Dr. Goro Tamura, Assistant Professor, Tokyo University of Technology

 

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2025年度 卒業研究の紹介(工業デザインコース)

こんにちは。工業デザインコース4年の國米悠吾です。

本記事では、私の卒業研究「MOON SKIPPER」のコンセプトや制作プロセスを紹介します。

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「MOON SKIPPER」の3Dレンダリング画像

 

「MOON SKIPPER」は、近未来の月面での人間の生活をより楽しくするためのモビリティのデザインコンセプトです。

 

近年、NASAのアルテミス計画やSpaceXの火星移民計画をはじめ、月面での長期滞在・商業利用への機運が高まっています。

 

現在研究されている月面向けモビリティの多くは、「実現可能かどうか」といった技術的アプローチが中心となっており、「楽しく使えるか」といったユーザー体験(UX)の視点からアプローチしている例はあまりありません。そこで、本研究ではユーザー体験やモビリティデザインの視点から「近未来の月面モビリティの可能性を提案し、体感してもらう」ことを目的としています。

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本研究で想定した、月面での長期滞在に向けたロードマップ

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卒業制作展での展示風景

 

「月面でモビリティがある暮らし」をより分かりやすく体感してもらうため、以下の展示物を制作しました。

 

  • 3Dレンダリング画像を含むプレゼンボード
  • 外観モックアップ(1/30スケール)
  • 内装モックアップ(1/50スケール)
  • VR室内空間モックアップ(1/1スケール)

特にVRモックアップは、限られた展示スペースの中で実物大の室内空間を体感できる点が特徴で、体験していただいた方から「わかりやすい」といった声を多くいただきました。

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VRモックアップのエディタ画面 Unityで構築し、VRSNSプラットフォーム「VRChat」上で動作する

 

デザイン面では、「AIと協働したデザイン」の実践を一つのテーマとしています。

たとえば、月面環境におけるモビリティの物理的特性や、与圧・通信・自動運転といった技術的側面について十分な知識がなかったため、都度AIに質問を投げかけながらユーザー体験のストーリーラインを補強し、モビリティをデザインするにあたって必要な要素を洗い出していきました。

 

また、構築したストーリーラインに合うモビリティの内装イメージを生成し、その内装が収まる外観ラフを作成。さらにAIでイメージ化し、それをもとに3DCADデータを作成する、といったAIと人間の間での「具体化」「抽象化」を組み合わせたプロセスでデザインを行いました。

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人間が描いたUXスケッチをAIに取り込み、体験のイメージをより具体的にする

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体験のイメージを元にAIで外観イメージを作成し、それを元に3DCADデータを作成した

 

卒業制作展での展示を通して、「未来にこういった暮らしがあると思うとワクワクする」「月だけでなく、地球でもこんなライフスタイルをしてみたい」といった感想をいただき、「近未来の月面モビリティの可能性を体感してもらう」という本研究のテーマはある程度達成されたように感じます。

 

一方で、「技術的な側面での検討が足りない」といったご意見もいただきました。将来の月面インフラとの兼ね合いもあり、技術的な部分まで含めて実現可能かどうかを検討できるのは数十年後になるかもしれませんが、この研究が、将来の月や火星での人類の長期滞在における「暮らしの楽しさ」に少しでも貢献できればと思います。

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2025年度 卒業研究の紹介(空間デザインコース)

空間デザインコース4年の小久保宇多です。

今回は、卒業研究「ASOBIco」を通して考え続けたことや、そこから得た気づきをお伝えします。私は「子どもが自然と外遊びをしたくなる空間」をテーマに研究しました。

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展示写真

きっかけは、私自身が子どもの頃、時間を忘れて外で遊んでいた経験です。

夢中になれる場所が身近にあったからこそ、豊かな時間を過ごせたのだと感じています。

この体験があるからこそ、外遊びの減少を他人事ではなく、自分自身のこととして捉えることができました。

そして、子どもがどんな気持ちでこの空間を使いたいと思うのかを想像しながら、デザインに向き合いました。

 

研究では実際に街を歩き、子どもの目線で空間を観察しました。

スケッチや模型制作を重ねながら、「移動そのものを遊びにできないか」と考え続けました。

この考えにたどり着くまでには、多くの試行錯誤がありました。先生方から「とにかく手を動かす」と言われ続け、数多くの模型を制作しました。しかし当時はその意味が分からず、制作が止まってしまうこともありました。

振り返ると、無駄に思えた試作も比較や検証の材料となり、今の提案につながっています。

質より量。まずは手を動かすこと、迷いながら問いを深める時間こそ大切だと感じました。

 

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スケッチとフィールドワークで撮った写真

展示では、先生方だけでなく、卒業制作展で初めて作品を見る一般の方の存在を意識しました。

模型には人物模型を配置し、どのような遊び方ができるのかが一目で伝わる構成にしました。

さらに、街全体の地図模型を制作し、子どもたちの動線がぱっと見て分かるようにしました。

八つの模型が街のどこに位置しているのかを示すことで、提案全体のつながりが伝わる展示を目指しました。

 

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模型の一部

 

最後に、卒業研究は、自分の経験や関心と本気で向き合える時間です。

最初に抱いた問いや課題意識は、決して間違いではないと思います。

迷うことがあっても、軸をぶらさずに問いを深め続けてほしいです。

試行錯誤の積み重ねが、必ず自分だけの答えにつながります。

どうか諦めず、自分のテーマを信じて向き合ってほしいと思います。















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2025年度 卒業研究の紹介(情報デザインコース)

こんにちは!情報デザインコース4年の上野崇太です。

私の卒業研究は「層光 layered light」です。

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作品全体写真

 

私は都市の夜にある人工光を撮影し、それらを何層にも合成した写真を制作しました。

 

私たちが何気なく目にしている夜景は、無数の光でできています。
私はその光そのものに強く惹かれ、研究を始めました。

 

しかし夜景は明暗差が大きく、目で見た印象をそのまま写すのは簡単ではありません。

そこで私は、光の魅力を抽出し、再構成する方法を選びました。

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展示写真:都市コラージュ 

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展示写真:一枚が生み出すテクスチャー

 

これらの写真は、いくつもの現実の光が重なって生まれたものです。

分解されると、その奥に隠れていた光の記録や時間の層が、少しずつ姿を現します。


また作品に使われている光は、すべて実在の風景から得たものです。AICGではありません!


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実際の展示の様子

 

展示では、大型額縁の写真がスライドショーとして再生されています。展示台では、主にフォトフレームのライティングを行っています。

また、センサーの位置表示や一枚のみを強調するライティングなど、展示全体がゆるやかに変化する構成になっています。


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フォトフレームライティング縁のみ

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フォトフレームライティングあり

 

NFCタグ入りのフォトフレームをセンサーにかざすと、額縁内の映像や展示台の表示が変化します。これらは授業で学んだプログラミング(Max MSP、JavaScript)の知識を活かして制作しました。

 

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写真読み込み時全体の様子

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センサーかざす様子

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レイヤー構造動画再生時

 

中央大型額縁には読み込んだ写真が表示され、左右の額縁には詳細が表示されます。

展示台の映像はプロジェクターから投影し、レイヤーの構造や生成の仕組みを説明しています。

実は、展示台中央の模様(アニメーション)も都市の光から制作しています…。

 

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展示台フォトフレーム配置

 

私はこの作品を通して、写真はただ眺めるものではなく、光の層の奥にある時間や記憶を感じながら、写真という媒体が持つ現実とのつながりや、私たちが写真を信じて見るという感覚について、あらためて考えるきっかけになればうれしいです。

 

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当日の様子

 

 

最後に、これを読んでくれている高校生や後輩の学生のみなさんへ

あなたが今好きだと思っているものは、どんなに小さな興味でも、きっと大事な種になります。

写真でも、ゲームでも、音楽でも、街歩きでも大丈夫です。

大学で学ぶ知識や技術は、その「好き」と必ずどこかで結びつきます。

自分の興味を信じて、一歩ずつ進んでみてください。応援しています。

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2025年度卒業研究の紹介(視覚デザインコース)

こんにちは!視覚デザインコース4年の今田夕夏です。

 

この記事では、私が取り組んだ卒業研究について紹介します!

 

卒業制作のテーマは「らくごおんどく 江戸の巻」。

江戸時代から現代まで継承されている伝統芸能「落語」を音読と掛け合わせ、子どもの能力を育むワークブックを制作しました。

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卒業制作展での展示風景と作品

 

研究のきっかけは、もともと興味のあった落語を実際に観に行ったことです。

笑いで心を豊かにする落語に感動し、落語を手法として「伝統文化や豊かな感性を後世につなぐことはできないだろうか」と考えるようになりました。

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浅草演芸ホールでの現地調査

 

そうして制作に至ったのが、小学生に向けた落語の音読ワークブックです。

 

様々な立場を演じる落語特有の「役割演技法」によって子どもたちの感性を磨くとともに、落語文化を根付かせるアプローチを目指しました。

手ぬぐいや扇子などの小道具と併せて、楽しく落語を体験してもらえる内容にしました。

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展示風景とワークブックの見開き

 

ワークブックはすべて和紙を使用した和綴じ製本にする一方で、挿絵はあえて現代風でプレーンなデザインにするなど、現代と伝統を掛け合わせた「らくごおんどく」ならではの新しい形を模索しました。

 

このワークブックによって子どもたちに教育的な効果をもたらすこと、また落語を教育に取り入れることで得られる効果を調査・探求することが、この研究の意義だと考えています。

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