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2024年10月

アートディレクションの魅力〜アイデアを形にするクリエイティブな職業とは?〜

視覚デザインコース准教授の小田敬子です。
今回は、「視覚デザインコース」で学ぶアートディレクションについて、紹介します。

 

アートディレクターは①ビジュアルコンセプトの設定、②クリエイティブチームのワークフローの管理、③プロジェクト全体のビジュアル品質の管理など、リーダーシップを発揮してテーマや目的を達成し、最高なビジュアルソリューションを提供していく仕事です。広告、ファッション、映画、ウェブデザイン、出版など、さまざまな業界でアートディレクターが活躍しています。プロジェクトチームには多様な能力を持つ人々が集まり、それぞれの専門性やスキルを生かし、互いに協力し合いながら創り上げます。

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図1)デザインプロジェクトチームのイメージ

 

ではデザイン学部教員のプロジェクトチームによる実例を見てみましょう。

 

事例)デジタルツインセンターのVI(ビジュアルアイデンティティー)とサウンドロゴ制作

東京工科大学片柳研究所は、最新の設備環境のもと、持続可能な社会の実現を支える先進的研究に取り組む施設があります。その中の一つに「現実と仮想の融合領域の開拓に挑む」デジタルツインセンターがあります。今回はデジタルツインセンター(※以下DTC)の発足にあたって、DTCのアイデンティティを視覚的に表現し、一貫性のあるブランドイメージを確立するために、VI(ビジュアル・アイデンティティ)およびプロモーションのためにフライングロゴを制作しました。フライングロゴとは、映像や動画のオープニングやクロージングに使われる、ロゴが動きながら登場するアニメーション効果のことです。

 

1) ロゴ制作[アートディレクター/グラフィックデザイナー]

現実空間から収集したさまざまなデータを用いて、仮想空間上に現実と同じ環境を「双子」のように再現する技術をデジタルツインと呼びます。ツインのイメージを大切にロゴデザインは左右対称に近づけています。

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図2)ロゴデザインと展開例

 

2) フライングロゴ制作[アートディレクター/モーショングラフィックデザイナー/サウンドデザイナー]

アートディレクターは動画のコンセプトを決めます。鏡面に動く回転体でツインを表します。モーショングラフィックデザイナーに伝わるように指示書を作成します。

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図3)ロゴの動き

 

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図4)シーン1〜8

 

次にサウンドデザイナーに音のイメージを伝えます。DTCはデジタルとアナログの融合による新たな表現であり、デジタル音源とアナログ音源の両方を組み合わせることでその世界観を表してもらうよう伝えました。完成したフライングロゴをご覧ください。

 


図5)フライングロゴ(音付き)

 

このようにアートディレクションはビジュアルでメッセージを伝える「ストーリーテリング」の力が重要な要素であり、自分の考えや感じたことを形にして、人々に影響を与える非常に魅力的な職業です。

 


東京工科大学デジタルツインセンターについてはこちら
https://www.teu.ac.jp/dtc/

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JSSA音楽祭2024でライブパフォーマンスを行いました!

こんにちは! デザイン学部情報デザインコース講師、井藤雄一です。

 

今回は教員の研究活動について報告します。

2024年9月28日(土)、「JSSA先端芸術音楽創作学会 第55回研究会」と「JSSA音楽祭2024」に情報デザインコースの松村誠一郎教授と一緒に参加してきました。

JSSA先端芸術音楽創作学会は、コンピュータを使った音楽(先端芸術音楽)の研究を行う学会です。今回の研究会では、口頭発表だけでなく、コンサートでのライブパフォーマンスも行う「Peace and Paper方式」が特徴的でした。研究発表とライブパフォーマンスを組み合わせたユニークな形式です。

「JSSA音楽祭2024」は八王子にあるライブハウス「MatchVox」で開催され、大音量のパフォーマンスで会場は大いに盛り上がりました。

私は「サンプリング音楽」についての研究発表とパフォーマンスをおこないました。サンプリングとは、既存の音楽の一部を使って新しい音楽を作り出す手法です。この手法が音響デザインに新たな視点をもたらすと考え、私の研究のひとつとして続けています。発表では、私がMaxというプログラミング環境で開発したプログラムについて説明し、ライブパフォーマンスではそのプログラムとコンピュータを使って音楽を披露しました。

 

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コンピュータを利用した井藤のパフォーマンスの様子(Photo: 木村明日香)

 

松村教授は「RR(Radio Receiver)」というプログラムを利用した作品についての研究発表とパフォーマンスをされました。これは、ラジオからの出力音を音楽のための素材として使うライブパフォーマンスです。ラジオで受信している音をコンピュータにサンプリング(録音)して取り込み、PureDataで作った独自のプログラムで音楽として即興で再構成していました。チューニング中の音やノイズさえも音楽に変えるというコンセプトの作品です。

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ラジオを利用した松村教授のパフォーマンスの様子(Photo: 木村明日香)

 

他にも多くの発表やライブパフォーマンスが行われ、音や音楽に対するデザインの工夫によって生まれる新しい表現が楽しめました。ライブ終了後は多くの参加者と意見交換をすることができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。

このように教員は、デザインと社会に関わる幅広いフィールドで技術の発展やデザインの可能性について日頃研究活動を行っています。

 

詳しい研究発表の内容は、以下のリンクからご覧いただけます。
https://jssa.info/publication#ja




松村誠一郎教授の活動についてはこちらをご覧ください
https://www.teu.ac.jp/info/lab/teacher/ds/portfolio.html?id=15

井藤雄一 講師の活動についてはこちらをご覧ください
https://www.teu.ac.jp/info/lab/teacher/ds/portfolio.html?id=44

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Roots of Future展の紹介

デザイン学部教授の暮沢剛巳です。今回は監修をつとめた展覧会を紹介します。

 

日本には多くの優れたデザインがいっぱいあることは知っているけど、その多くは既に市場から消えたり製造中止になったりしていて、なかなか見る機会がありません。過去の優れたデザインをまとまって見る機会がないものでしょうか。そう思っている人やこれからデザインを学びたいと思っているみなさんに、お勧めしたいのが「Roots of Future――過去を探って、未来を見つける」展です。    

 

同展は、日本デザイン団体協議会(略称DOO/空間・グラフィック・インテリア・インダストリアル・ジュエリー・パッケージ・サインの7つのデザイン団体が参加)によるジャパン デザイン ミュージアム設立研究委員会がこれまで取り組んできた戦後日本デザインの成果を集積するアーカイブ事業を基に、1950年代から2020年代までの日本のデザインを振り返る「クロニクル」パートと、現代を象徴するキーワードを軸に、時代や領域を超えた日本のデザインの中にそのルーツを見つける「発見」パートの二部構成になっています。「クロニクル」パートでは戦後の日本を代表する各分野のデザイン700点強の写真や記録が、「発見」パートでは各領域のデザイン賞やセレクション、またグッドデザイン賞の受賞デザインを中心に、約90点の実作品や写真が展示されています。私は「クロニクル」パートの監修をつとめましたが、日本の戦後のデザインの流れを押さえられると同時に、最前線を実感できる展示になっていると自負しています。

 

会場の六本木にある東京ミッドタウンは、本展会期中の101213日にはデザインシップ2024が、また翌11月には2024グッドデザイン賞展が開催されるなど、1年を通じて多くのデザインイベントが開かれており、デザインを体感するにはもってこいの場所です。この機にぜひ、足を運んでみてください。

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開催詳細

会期:2024年9月20日(金)– 10月25日(金) 11:00–19:00(会期中無休・入場無料)
      *9月27日(金)– 9月29日(日)11:00–20:00(六本木アートナイト2024に伴い開館延長)

会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
主催:東京ミッドタウン・デザインハブ
共催:日本デザイン団体協議会(DOO)

https://www.designhub.jp/exhibitions/rof2024

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