工科デザイン研究」の創刊にむけて
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デザイン学部教授の暮沢剛巳です。このほどデザイン学部で刊行する予定のジャーナル(論文誌)について紹介します。
大学に入学する皆さんは、多くの授業でレポートが課されているのに驚くことでしょう。レポートの出来不出来で成績が左右されることもあり、多くの学生はハンドブック片手にレポート作成に四苦八苦しています。
ところで、論文である以上、その書き方には厳密なルールがあり、それに従わなくてはなりません。レポートの執筆は、ルールに従った思考の訓練にもなっているわけです。
もちろん、教員の仕事は学生のレポートを書かせることだけではなく、自らも論文を書かなくてはなりません。多くの教員は自分の専門領域の学会に所属していますが、ほとんどの学会では学会誌を刊行しており、教員はここに論文を投稿して自らの研究成果を発表しています。投稿した論文は複数の専門家による厳しい審査を受けねばならず(これを査読といいます)、査読に合格しなければ論文を学会誌に掲載してもらうことはできません。学生を厳しく指導する立場の教員は、自らも厳しく指導される立場にいるわけです。
さて、東京工科大学デザイン学部ではこのほど「工科デザイン研究」というジャーナルを創刊することになりました。今までは各教員がそれぞれの所属学会に論文を投稿していたのを、今後は自らが論文の発信拠点となることによって、研究力を強化しようというわけです。その成果は、きっと教育の現場にもフィードバックされることでしょう。
もちろん、このジャーナルは教員だけの専有物ではなく、学生に対しても開かれていて、水準の高い研究であれば、学生の論文も是非とも掲載したいと考えています。最近、ニホンオオカミのはく製を「発見」した中学生が学術論文を発表したことが大きなニュースになりましたが(*参考Uウェブサイト)、ひょっとしたらこのジャーナルからもそうした「発見」が生まれるのではないか、私はひそかにそんな期待を抱いています。
参考ウェブサイト:『はく製は絶滅したニホンオオカミか 中学生が論文発表』
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2024/03/news/nihon-okami/