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2021年11月

工業ものづくりデザインコース演習授業の発表会を開催しました

工業ものづくりデザインコースで「工業デザイン」「立体造形デザイン」を担当している酒井です。先日、2年生で初めて体験する専門演習の課題作品発表会を開催しました。

演習のテーマはずばり「椅子」です。
この授業の前半では、今まで使ってきた身近な椅子を題材にして、素材や寸法といったスペックだけのことだけではなく、使用者にしかわからない“椅子という製品と過ごした時間”までをも含めたリサーチを行い、プレゼンテーションボードにして発表しました。次にケント紙やスチレンボードといった扱いやすい素材で、椅子のミニュチュア模型を個人で制作しました。ここまではオンライン中心での授業を行いました。
後半では、対面授業のグループワークを中心として、ダンボールを素材にして実際に座ることのできる椅子を原寸大で制作しました。対面授業で素材に触れて、さらに使用できる強度をもったものをつくることで、実際に身体を使って形やデザインの成立要件を確かめながら制作を進めることができたのは良い経験になったと思います。
最後に自分たちが制作した椅子が、より魅力的に伝わるように、グループごとに工夫を凝らしたプレゼンテーションを行いました。身近な製品を改めて考え直すところから始まり、素材に触れて、ミニュチュアのスケールから原寸サイズの使えるものを制作する。さらに個人の活動からグループワークでの制作、発表へとつなげることで、「椅子」を通して様々な角度から製品を考えてデザインプロセスを体験できる演習授業となりました。皆さんもぜひ、本学部に入学して実践的なデザインの力を身につけてください。(デザイン学部 酒井 正)

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演習課題:食べ物についてのインフォグラフィックス

視覚情報デザインコースで専門演習Ⅰを担当している田邉です。 
専門演習Ⅰは、2年次後期から始まる演習です。 
今年度の最初の課題では「食べ物」についてのインフォグラフィックスに取り組みました。 
(インフォグラフィックスとは、数値や情報を、文字だけでなく、図やイラストを用いてわかりやすく伝える視覚表現です) 

この課題では、先ず、「食べ物」に関連したテーマを自分たちで設定し、どのような捉え方ができるのかを考察し、扱う情報、伝え方の切り口、調査・情報の整理を行います。その内容をもとに、グラフィックとしての面白さや美しさも兼ね備えることで、伝わりやすく見ごたえある作品にするのです。限られた範囲の中で単純にグラフィックを作るだけではなく、初見で伝えるべきところ、理解させる順番、視線誘導、ストーリーや期待感など、どのように情報を伝えていくかを計画して制作していきます。 
この課題は、グループワークとなっていますので、作業分担や情報の共有、制作スケジュールの確認などチームで協力して成果を出していくことも重要となります。連携がスムーズにできたチームもあれば苦労したチームもありましたが、どの学生も、個人制作では経験のできないものを修得することができたと思っています。 

以下、各チームがどんなものを作ったかを紹介しましょう。 
・「食と名画」をテーマにしたチームは、美術館を背景にして各年代の名画とともに、画家の生きた時代、その土地に存在した食べ物を絵画のように飾って紹介しました。また背景を美術館としたことでビジュアルとしても映える作品となりました。 
・「昆虫食」をテーマにしたチームは、実際に食用に加工された昆虫を購入して実食していました。単純に調べて制作するだけでなく、味や匂いなど学生たちで体験することも大切な調査の一つとなったようです。 
・「出前の歴史」をテーマにしたチームは、電話がない時代の注文方法や、徒歩や自転車での出前の範囲、近年の配達パートナー、近未来でのドローンを活用しての配達方法などを取り上げ、出前を通じての人とのコミュニケーションの変化を考えさせられる作品を制作しました。 

学生はこの授業を通して、文字だけではなくグラフィックを多用して伝えるという、情報デザインの面白さを実感できていました。
(デザイン学部 田邉雄一) 

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大田区の地域講座を実施しました

空間演出デザインコースで「コミュニティ」のデザインを専門としている酒百です。先日大田区主催による公開講座(おおた区民大学 公開講座「未来へのバトン〜おおた地域学・入新井の記憶」)に学習支援者としてワークショップを行いました。 

この講座は、大田区が生涯学習として区民に対して様々なテーマで開催している一つの講座で、大田区の各地域に焦点を当て、その地域の今後を区民と一緒に考えていくものになります。今回は「入新井」という地域を対象とした連続4回の最終回を担当しました。これまでの学びをふまえ、地域の年表や地図に自分を重ねて記憶を掘り起こし、それを参加者同士で共有し合い、まちの記憶としてアウトプットします。いわば、参加者の記憶に基づいた地域の歴史や地図をデザインする作業であり、それは、参加者相互のコミュニケーションをデザインする事でもあります。そんな役割を果たすデザインもあるのです。

本学の学生3人も講座の補助として参加し、区民の記憶に寄り添い、アウトプットのお手伝いをしました。コミュニケーションの手段として言葉は、互いに理解できる便利なツールです。しかし言葉にも捉えかたや表現のしかたによって、受け取りかたは変わります。コミュニケーションにおけるデザインは、そのインプットとアウトプットの翻訳作業とも言えます。 

今回学生たちにとって世代も育った環境も違う人々の声を聞き、互いの意味をすり合わせる作業は難しかったと思います。しかし、そうしたことがコミュニケーションとして大事であり、地域において「未来へのバトン」とも言える作業です。過去のできごとに驚いたり、感心したりするなかで得た経験は、今後のデザイン研究に必ず活きてくるものだと思います。皆さんも、本学で貴重な体験をしてみませんか。(イン学部 酒百宏一) 

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