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これからの工業デザインとは

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 工業ものづくりコースで「工業デザイン」や「モビリティデザイン」を教えている相野谷です。工業デザインというと、皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか?"工業"とつくので、クルマやテレビというような大きくて硬いイメージを持っている人も多いかもしれません。もちろん、クルマやテレビも工業デザインの対象ですが、それだけではなく、いわゆる家電製品も工業デザインの対象ですし、雑貨や文房具、キッチン用品なども対象になります。そのため人々の生活によりフィットした、モノの様々な価値を見つけてデザインしていく事が重要になってきています。
 現在販売されている家電製品の中にはロボット技術を取り入れたものがありますが、その代表的なものとしてはiRobot社のルンバがあります。iRobot社はもともとロボットを製造する会社で、その技術を応用して家庭用のロボットを作ったのがルンバです。家庭用というと、円柱状の掃除機が多くありますが、ルンバが従来の掃除機と違うのは、勝手に掃除をしてくれるということです。(途中で絡んだりする問題は多少ありますが、、、)これは自分が違うことをしていても、ルンバが掃除してくれるということで、今までの自分が操作して使うものという道具としての存在から、自分ではない存在が、もう一人の自分のように仕事をしてくれる存在といえます。
 人々の生活に合わせたモノの様々な価値とは、ルンバのような高い技術を使ったものだけではなく、日々の生活をより楽しく、明るくしてくれるような、インテリアや雑貨の存在のような工業デザインも増えてきています。トースターやポットなどに見られるように、片付けないで出しておいても部屋の雰囲気を邪魔せず、インテリアオブジェのような存在としても機能するようにデザインされたものが販売されています。
 自動車のデザインでもスポーツカーや高級車のような、いわゆるかっこいいデザインだけでなく、環境に配慮したエコカーや女性ユーザーのためのかわいいデザインなども登場しています。さらに、自動運転によって、自分の部屋が移動するような、リラックスしたままソファーのような座席に座っているだけで目的地に到着するという体験を提供するコンセプトカーも登場しています。このように、デザインの価値はさらに広がり多くの人々の使い方に合わせた提案ができるデザイナーが求められると思います。
 東京工科大学では、このような様々な価値を生み出す工業デザイナーを輩出するためにデッサンや造形などの感性教育を大学のカリキュラムとして取り入れ、絵や工作が上手い、というだけではない、次世代に対応する基礎を身につける教育活動をしています。
 今年度は、コロナ禍ということでオンラインでの授業で始まりましたが、インターネットを活用した遠隔システム用のアプリケーションなどを使いながら、グループ活動を含めたデザイン開発の授業を行いました。実際のデザインの現場でもコンピュータが必須ですが、企業内よりもインターネットやスマートフォンに馴染みがある学生の方がアプリケーションに早く馴染み、使いこなして、デザイン開発手法として身につけたのではないかという印象もあります。いろいろなことに興味を持っていれば、積極的に学ぶことができると思います。ぜひ一緒にこれからのデザインを考えましょう!(相野谷 威雄

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(C)2012 Tokyo University of Technology, School of Design.