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2020年7月

サスティナブル社会とデザイン

みなさん、こんにちは。デザイン学部の本郷です。今回はサスティナブルとデザインについてお話ししたいと思います。サスティナブルってなんでしょうか。中学や高校の授業などで習ったことのある方もいらっしゃるかとも思いますが、今後のデザインにも大いに関係することなのです。サスティナブルとは「ずっと続けていくことができる」という意味ですが、将来の世代の人たちのために環境を壊さず、また資源を無駄にせずに、今の暮らしを良い状態に保とうとすることです。デザイン学部では、いくつかの授業や演習において、サスティナブルとデザインについて学ぶ機会を設けています。その理由は、デザインの役割というのは、人の営みを豊かにするということだからです。

現在の地球環境が温暖化の影響で急激に悪化していることは言うまでもないことですが、一説によれば、今の温暖化がこのまま進んだ場合、2100年には人類は地球上で生活するのが難しくなるとすら言われています。現在、全世界的に温暖化を食い止めようとする様々な取り組みが行われているとはいえ、一番大切なことは私たち個人の意識の持ちようと行動だということを忘れてはなりません。個人の生活レベルでは、「ゴミを分別する、できるだけ出さない」「モノを大切につかう」「環境に悪いものは使わない」という程度で、本当にその行動が地球環境のためになっているのか実感することができず、もどかしく感じることも多いと思います。
しかし、個人の生活レベルではもどかしく感じるようなことでも、仕事のレベルにおいては自分の考えや方法を反映させることで、地球環境に貢献できることを実感できるかもしれません。デザインは新しい「モノをつくる」ことであると同時に、「モノをつかう」ことについて考える仕事でもあります。世の中には様々な仕事がありますが、デザインほど、これからの地球環境にとって重要な鍵となる仕事はないとさえ言えるかもしれません。これからのデザインに必要なことは、「単にモノのデザインをすること」、ではなく「そのモノの意味」、「そのモノのあり方」、「そのモノと人と環境との関係」をしっかりと考え、大量生産、大量消費を良いことと考えてきた従来のデザインの役割を見直し、人々の生活にとって本当に必要なモノ、環境を悪化させないモノを創り出すことではないでしょうか。

デザインには、人にとっての本当の豊かさを見出したり、環境を良くすることができるアイデアと可能性が多く秘められています。私たちデザイン学部の教員にはそのことを皆さんに伝える役目があります。これからの将来を担う若い世代から、デザインの力によって未来を変えることができる人がたくさん出てくることを期待しています。(デザイン学部 本郷信二)

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デザイン学部バーチャルオープンキャンパスDAYオンライン教員相談のご案内

だんだんと暑くなってきましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか。例年ですと夏に向けてオープンキャンパスが盛んに行われて、興味がある大学に足を運ぶ時期ですが、今年はこれまで行われていた形式で来場者の皆さんをお迎えする開催が難しい状況にあります。そのため本学ではリモートシステムで出来ることを駆使してバーチャルオープンキャンパスを7月より開催しています。

デザイン学部ではこの後8月1日(土)と8月30日(日)に開催する予定です。その中で遠隔であっても身近な面接が可能なリモートシステムであるZOOMを使って、大学のカリキュラムや大学生活、卒業後のことなどをデザイン学部の担当教員と自由に相談できる『教員とのオンライン相談』を開催します。

普段から大学の広報担当の職員が相談役となってオンラインで開催していますが、バーチャルオープンキャンパスDAY当日は、授業を担当しているデザイン学部の教員と直接話をすることができる貴重な機会となります。

なお事前の申し込みが必要となりますので、希望者は下記URLからリンクへ移動してお申し込みください。大学での授業や生活、研究活動など生の声を聞ける貴重な機会でもありますので、奮ってご参加ください。

 https://www.teu.ac.jp/entrance/open/schedule/event.html

上記URLページ内の申込イベントで「8月1日(土)バーチャルオープンキャンパスDAY (蒲田)」を選択して「次の画面へ」に進み、画面中央の「デザイン学部」を選択して画面下へスクロールして希望の時間枠にお申し込みください。申し込みは先着順となります。8月1日(土)開催分の申し込み締め切りは7月29日(水)12:00までとなりますのでよろしくお願い致します。(酒井 正)

 

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感性演習[描く]について

こんにちは、東京工科大学デザイン学部講師の深澤健作です。大学では、【デザインにおける平面表現研究】というテーマで絵を描くときの材料、技法、組成などを研究しております。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回は私が担当しているデザイン学部を代表する科目、感性演習[描く]についてお話ししたいと思います。東京工科大学デザイン学部に入学して最初に受講していただく必修授業の一つで、絵の基礎的な描画力を身につける授業になります。

描くという行為は、大昔から言葉や文字だけでは伝えきれないモノやコトを表すことができる重要なコミュニュケーション手段でもありましたから、これからデザインを学ぶ上で避けては通れない要素の1つと言えます。

描くことのための基礎学修というと、最初に思い浮かべるキーワードは「デッサン」という言葉ではないでしょうか?

デザインを学ぼうと考えている受験生のみなさんの中には「デッサンを勉強したことがない」「デザインに興味はあるけれど絵を描くことには自信がない」という方もいらっしゃるでしょう。描くことに苦手意識や能力的な不安を持っていてデザインへの進路を断念する人もいらっしゃるかもしれません。しかし、“デザインが好き!もっとデザインを学びたい!”という気持ちがあれば、デッサンや絵の経験値などを気にすることはありません。

私の授業では、デッサンから着彩まで絵の表現方法を1からお教えしています。絵を上手に描くことよりも、自分一人でもデッサンや表現力を高めて行ける知識と技術を指導し、長期的に成長していくことができる学生に育てたいと考えております。絵が得意な人も、苦手な人も、今よりもさらに表現力豊かな成長を遂げる事ができるでしょう。

今は、新型コロナウィルス感染症の影響で授業形態もオンライン方式をとっております。始めてみると、これまでの対面での授業とはまた異なる指導が行き届く側面も多く、学生たちの主体的な学びへの取り組みや授業時間の使い方など、自分のペースで学ぶことができるようで、自由度が広がったという学生の意見も聞かれました。

現在、本来の学ぶ形とは異なるのは残念ですが、対面授業とオンライン授業を上手に利用し、デザイン学部ならではと言える感性演習「描く」の授業に進化させてゆこうと思っています。では、授業でお会いしましょう! (深澤 健作)

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デザイン学部オープンキャンパスへご来場の皆さまへ

今年度から東京工科大学デザイン学部で主にスキル演習科目を担当する舟山貴士です。
オープンキャンパスを楽しみにされていた皆さまとお会いできないのはとても残念ですが、このバーチャルオープンキャンパスに参加し愉しんでいただいて、デザイン学部のことをたくさん知っていただければと思います。


私は、東京工科大学に着任するまえは、、グラフィックデザイナーとして雑誌のデザイン、美術館で行われる展覧会の図録やポスターなどを手掛けてきました。
仕事の現場で得た知識と経験を大学で学ぶ皆さんと授業を通じて共有できればと思っています。

 

新型コロナウイルスの拡大により、大学本来の形ではない事ですが、前期全ての科目がZOOMなどによる双方向授業などのオンラインで行うことになりました。私はビデオ通話の形式で講義を行い、視聴した受講生のみなさんにはそこで出した課題に取り組んでもらっています。
みなさんはパソコンなどでビデオ通話などしたことがあるでしょうか。
普段、キャンパスの演習室で行う授業と同じ、とは行きませんが、オンラインのメリットを活かしながら授業を行っているところです。
例えば、資料を事前に配布できるので予習に取り組み、授業で効率的に質問が出来ます。普段なかなか質問ができない方も、オンラインではチャット形式で自分のタイミングで質問ができるので聞きやすいということもありました。
また、移動しなくても自宅で受講することができるので、その分、朝一番の授業からも集中して取り組むことができているようです。


実際のデザインの仕事ではパソコンを使っての作業が多くなります。
これまであまりパソコンを使ったことがない人も、例えば1年次の授業では「デジタルスキル」という授業がありますので、基本的な使い方から学ぶことができます。
私は「Adobe Illustrator」というソフトウェアの使い方を通してデザイン演習を行う2年次の授業を担当しています。
文庫本のカバーのデザインや、パンフレットの誌面レイアウトを行う授業です。
オンライン授業では、受講生の皆さんには画面の半分に私のデモ画面を映してもらいながら、もう半分の画面で実際にソフトウェアを使いながらデザインを進めていく、というかたちにしました。

このような場合でオンラインの良いところは、デモ画面をすぐとなりに見ながら作業ができるという点があると思います。
演習室でも同じようにも出来なくはないですが、授業のデモの様子を動画を後で見返すことができるなど、 自分のペースで授業課題に取り組んでもらえていると思います。
制作したものや企画書などをオンラインで閲覧できる環境を用いているので、受講している学生も色々な作品を見ることができ、刺激になっているようです。
また、チームになって課題に取り組む授業もあり、ビデオ通話の他に普段使うコミュニケーションツールを用いながら連絡を取り合って協力しながら制作を進めていくことなど、実際の仕事にも応用して行けるような活動として取り組みを進めています。
今後オンライン授業でなくなっても、良いところは取り入れながら授業を構成していくこともできる部分だと考えています。

 

演習室の授業でもオンライン授業でも、基本的には学生の皆さんに学んで欲しい事は変わりありません。
デザインの学びを通して社会をより良い方向に導くような実学的なことを学べるのがデザイン学部です。
新型コロナウイルスの感染拡大に限らず、今、社会は目まぐるしいスピードで変化している時代であると言えます。
デザインの学びで得られる解決力に何が求められているのか、どのような問題を解決できるのか。
みなさんと一緒に学んでいければと考えています。


デザイン学部 助教
舟山 貴士

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工科大デザイン学部で学ぶということ

Covid-19(新型コロナウィルス)感染の拡大によって、世の中のシステムは変わりつつあります。緊急事態宣言が解除されて、一部では人の流れも復活したとはいえ、皆さんの生活のスタイルもずいぶんと変化を余儀なくされていることでしょう。良い面もあれば、不都合な面もある。周囲の人に気を使うという事は、当たり前のことでありながら、こうした事態になって改めて認識されているように思われます。スマートフォンを見ながら歩行して他人にぶつかりそうになったり、電車内でゲームに熱中して通路をふさいだり、周囲の迷惑を顧みずに大声で唾を飛ばして会話したり…という場面を見ることが減ってきたように感じるのです。また、これまで以上に、清潔であろうとすることへの自覚が増しているようにも思われます。
一方で、リアルでの対面を避けねばならなくなったための不便さについては言うまでもありません。人との接し方やコミュニケーションの形が変わらざるを得なくなったということでの不都合はたくさんあります。
一日も早く感染が終息することを願うのは言うまでもありませんが、ただ、何もせずに願っているだけで立ち止まってはいられません。問題があったら、それを少しでも解決するように考え、試行しながら提案し、実践していくこと。今は、そうした事こそが重要なのではないでしょうか。そして、それはまさに“デザインの考え方”に他ならないのです。
デザインに関心がありながらも、「これまで美術の勉強を特にやってこなかった」「自分は絵があまり上手ではない」「デッサンの講習会に行ったことがないので不安」ということで、デザインへの進学をあきらめてきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。ところが、もちろん、絵がうまいということは、心強い高スキルの一つではありますが、必ずしもデザインのための絶対条件ではない。むしろ、世の中の問題を解決しようと、様々なアイデアを考えて行く力―そのために、自分がこれまで知っていたことだけでなく、広く情報を収集して、試行錯誤しながら策を立案し、それを形にしようと努める力を付けていこうとすることこそが、デザインを学んでいくうえでは必要なのだと、東京工科大学デザイン学部では考えています。また、本学部では、デザインするうえで必要な描画力と造形力については、入学後に1からお教えいたしますのでご安心ください。
感染拡大を避けるための授業形態としての大学の遠隔授業。本学部でも、教員からの一方向ではなく、学生とコミュニケーションを取りながら様々な形で行っています。普段、大教室での授業などでは最後部に座っている受講生とは対話しづらいのですが、リモート授業では、かえって受講生全員と気軽に質疑応答できるという利点もあります。難しいと思われがちな演習の遠隔実施に関しても、楽しく成果を上げて好評を得ています。その具体的な内容はまた、今後のブログや別コンテンツに回しますが、こうしたことも問題解決の実例です。
かっこいいものや美しい形を作ること自体が目的なのではなく、必要な事に対して、より良いかたちで対応することに意欲を燃やせる方、自分の好きな事だけでなく社会の出来事や知識に関心を持って学んでいこうという方、他者とのコミュニケーションを大事にする方、デザイン学部は、そんな方々をお待ちしています。(黒川修一)

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